小池知事側近もマスコミも「情報」を軽く扱い過ぎだ。

東京都議会議員の川松真一朗(墨田区選出・40歳)です。

東京の情報管理
さて、今日は都知事周辺の情報管理のヒドさについて言及します。特に、緊急事態宣言下で都民、国民がピリピリした状態の中で、観測気球的なのか、ただ単に漏らしているだけなのか本当に一部の人間しか知らない情報がマスコミで報じられ、その度に都庁舎内も含めて世間が右往左往します。

特に、最近の都政においては顕著ですが、不確実な情報が報道され続けてきました。例えば、3月7日までだった緊急事態宣言再延長に関してです。延長のタイミングで、東京都が延長解除を国に要請する際の数値基準として「『直近1週間平均の新規感染者数を140人』『入院患者数を1000人』とする方針を固めた」との報道がありました。しかし、最終的には、この数値目標の設定には至っておりません。ところが、実際に数値目標の設定を検討していた経緯があるのは事実なのです。

これは3月5日の金曜日の事でしたが、朝一で NHKが東京都 解除要請の目安設け都民に協力求める方向で調整https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210305/k10012898461000.htmlで報じた事がきっかけでした。ただし、こちらの記事を見ても分かるように具体的な数値までは出されてはいません。その後、NHKを追いかける形で、テレビ朝日、日本経済新聞をはじめ各社が決定事項のように「140人、1000人」を報じる事になったのです。

突然《誤報》になった
当日、夕方には知事側と議会との連絡会議がありましたが、自民党の山崎幹事長から「140人、1000人」報道はどういうことか?と聞くと「誤報であり抗議を入れる」という都側の回答があったのです。東京都は抗議を入れたようですが、実際に「謝罪、訂正」の類は各社ともありませんでした。

つまり、各社からすれば、それなりのスクープ的に抜く確証があったからだと推察します。知事本人含め都政の意思決定に関わる人物などからの情報提供があったり、この方向性でいくという内部資料が手元にあったからこそ、突然誤報になったと言われても強く反論する武器があったということですね。実際には昼頃に日本経済新聞がオンライン配信してから世間は騒然となっていました。「出口戦略無き」延長要請だという批判の声が多数あがっていたのです。情報を流出させた人物の意図は分かりません。単純にアドバルーンをあげて反応を見たのかもしれません。

先走りは知事かマスコミか
延長のタイミングでは他にも情報先走りがありました。もう既に、皆さんご承知の通り、黒岩知事と小池知事の言った言わない問題です。この時も「政府に対して延長要請へ」という報道が大展開されたわけです。実際には、1都3県はまとまらず要請に至っていません。この時は間違いなく世間の空気作りへのリークだったと私は思っています。そして、その都庁内の何者かの意図の通りワイドショーなどは宣言延長の空気を作っていきました。事前に東京都側から西村大臣への面会ありきで延長要請のペーパーを作成していた事も判明したのです。1都3県内でゴタゴタがなければ、マスコミへの事前リーク通りの展開となっていたはずです。

湧きあがった小谷新会長論
また、東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の新会長人事をめぐって、小池知事は「小谷実可子推し」という記事が複数出てきました。週刊誌までなら関係者談で済むでしょうがスポーツ紙1面でも報じられたのでした。この時も、私のところに「小谷推し」について複数から見解を述べられましたが、私なりの情報収集と分析を各社に話しましたが、そういうところは書かなかったのです。踏みとどまってくれたのでした。

これらは分野は異なりますが、共通することは、不確定な情報が報道され、それに伴い関係者や都民、国民が振り回されているという事です。政策決定の際には、様々な検討がなされる事は当然です。ところが、不確定な検討段階の情報が、あるいは事実と異なる不正確な情報が報道され、そのような事態が一度ならず何度も繰り返されるといのは、都知事や都知事周辺の情報管理、特に中枢部における情報管理・報道対応に大きな欠陥があるとしか考えられないのです。私は犯人探しをするつもりもありませんが、この間の都政の重大案件でスクープされた情報を並べてみましたら、ある一定の法則も見えてきました。この事を知事に近くにいる方へ、もし次も同じような事があれば黙っていませんよとお伝えしました。漏れ伝わるところによると、情報管理の徹底について知事側から言及があったとの事です。

難しい本質論に対して
私は、いつも小池都政に厳しく言っていますが、常に本質的な問題でしか攻めないようにしています。今回、取り上げた情報管理の問題は広く都民や国民の生活に影響するからです。特にコロナ禍で、幅広く以前のように取材に出掛けられないマスコミ各社の記者にとっては、少しでも新たな情報は「喉から手が出る」ほど欲しいものなのです。本来であれば、知事周辺から情報を入手してからがスタートで、この社会をどうしたいかという正義に基づいて報道するはずですが、今は他社より先にという意識が強くなっており「方針に固める」「検討」「方向性」という固まっているようで固まっていない状況でも大きく伝えます。記者達からすれば「検討している」事には嘘はないという論理です。

ある種の特権的な地位を与えられているマスコミ各社の記者達の矜持も今こそ必要です。何が問題かというと、事実をしっかりと伝えようという解説員や骨のある記者達ほど、フワッとした空気の中では「悪者」にされてしまうのです。だから、今はこの雰囲気作りに流された政治家ばかりが正義になっています。決して、私が100%正しいとは思いませんが、自分の信念に基づいて「おかしいな」という事を言い続けなくては本当に取り返しのつかない事になってしまう世の中だと認識しています。あまり、言い過ぎると言論統制だと言われてしまいまうのですが、最近も某新聞記者の個人ツイートめぐって一悶着ありました。明らかに事実誤認でしたので。こういう100対0の主張なら私達も勝てますが、そうじゃないとマスコミの力は強大です。

それを意図的に利用しようとする者達にも正義がないから、日々、仕事が増える今日この頃です。

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