東京都議会議員の川松真一朗(墨田区選出・都議会自民党最年少)です。
突然の発出要請
小池百合子都知事が、埼玉・神奈川・千葉の各県知事と西村大臣の下を訪ねて、国に緊急事態宣言の発出要請してから、突然マスコミ報道が変わってきました。一般的に仕事始めとなる1月4日月曜からはワイドショーも新年がスタート。テレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」でも玉川徹氏、岡田晴恵氏が出演されて持論を展開されています。
番組に出演者間でも、今回の緊急事態宣言発出には賛否両論です。明らかに2020年4月時点とは様子が異なります。しかし、新型インフルエンザ特措法45条を根拠にした緊急事態宣言下で「やれる事」に変化はありません。にも関わらず、この年明け早々に知事がマスコミ引き連れて西村大臣に要請へ出掛ける必要があったのでしょうか。不要不急の外出ではないという判断なのでしょうが、こういう時こそオンラインで会議を開き、結果報告だけをすべきだったのではないかと思うのです。これは、4知事皆さんに言いたい事です。
1000人超えは想定できていたはず
そもそも、12月31日に東京では新規陽性者が1300人を超えました。これを受けての1月2日であるならば、私は疑問を感じずにはいられません。1000人という数字は世の中の意識、トレンドが変わる1つの基準であったと思います。この1000人という数字は、少なくとも下記のブログを書いた時点で私の頭にありました。
コロナ禍における看護師の環境を聞いて
実際に上記ブログに書いている看護師連盟との意見交換の中で、私は「年末年始にも1000人と予想される」という医療関係者の予測に言及し、その為に何が出来るかを先手先手で打っていかなければならないと述べたのです。つまりは、11月の時点で、東京都医師会幹部も、このままでは「1月には1000人」という状況を危惧していたわけで、この緊張感は東京都の感染症対策各部署でも共有されているはずでした。
これを踏まえると、小池知事が1300人超えをきっかけに国に働きかけたと言うのは、都の後手後手感を表しているのではないかとも考えられます。そもそも「緊急事態宣言発出」の狙いは「医療提供体制の危機」が目前に迫っている事を回避する為です。12月31日に、突然、危機が迫ったのではなくて、小池知事が「かるた」や「5つの小」「短期集中」などの標語を掲げている時に既に感染拡大は進行していました。
医療崩壊とは!?
よく、新型コロナウイルスの毒性の強さは、それほどでもないから「命を落とさない」というご意見を頂きます。新規陽性者、検査数、重症者との比較をすれば、死亡者は少なく見えます。「医療崩壊」という響きから受ける印象となる医療現場パニック感(昨年報じられた欧米のような)は想像出来ないかもしれません。しかし、私だけでなく、現場が恐れているのは、そこの前段階です。コロナ患者用のベッドや医療人材確保が優先されていくと、コロナ以外の患者さんを診る環境が失われていく。その為に、コロナ以外で命を落とす人が増えるのではないかという危機予測に基づいた行動です。だからこその医療提供体制ピンチであるのです。
元に戻せば、何も1月2日というタイミングで国に要請するよりも、例えば御用納めとなる12月28日前(年内)に強いメッセージを出して国や世論に働きかけなければいけなかったのではないでしょうか。しかも、2日というタイミングで宣言を要請したものの「緊急事態宣言を出すには時間を取って欲しい」という内容が含まれると都の幹部は言います。周知期間が無いと昨年のような買い占め行為などで社会が混乱してしまうという恐れがあるからだそうです。今にもすぐ出さなければならないという雰囲気は出したものの、実は先の話という事を各メディアはどう捉えるのか。1000人は想定されていたのに、何故1月2日に突然動くのかという矛盾を感じないでしょうか。
逆要請を受けた知事達
併せて、この要請の場で、西村大臣から「酒類提供の飲食店への時短要請を20時閉店」という逆要請を受ける展開になり、各知事で話して20時にするという事となりました。都の幹部は、20時閉店要請が宣言発出の前提になったからだと語りますが、そもそも分科会や西村大臣はこの点を年を越す前から口にしていました。例えば、大阪は「20時ラストオーダー21時閉店」をしっかりとやっていたのです。そこで、大阪は第3波とも言われる波が収まりかけていたのです。にも関わらず、感染拡大となっている東京は長い時間営業しているのかという指摘でした。
私は12月に大阪の様子をリサーチしていました。確かに街場の空気がコロナを意識していたのです。吉村知事が全国区のメディアに登場する姿は何度も拝見していましたが、大阪在住の方々の話をしっくりと聞く機会があまりありませんでした。そこで思った事は、こんなに21時閉店が徹底されているものかと。実際に吉村知事は現時点での緊急事態宣言要請は行っていません。
かたや東京は22時閉店のお店は決して多くありません。神奈川県黒岩知事は「横浜・川崎の時短要請協力店は「2割」 黒岩知事が危機感」(カナロコ・神奈川新聞)と既に12月下旬に述べており、小池知事もこの「2割」をよく口にしています。
ならば、何故2割なのか?東京も含めて協力金が少ないという意見は多々目にしますが、果たしてそれだけなのか、自分自身も自問自答・苛立ちの年末だったわけです。この2割という数字ですが、東京都産業労働局の場合、時間短縮要請協力金の申請が出てこないと分からないとの事ですが、過去に比べて年末という事もあり数は減っていると予想されます。
都立病院・公社病院の状況は?
他にも論点はありまして、緊急事態宣言は「医療提供体制の崩壊」を回避する為に必要とされています。
小池知事は12月半ばの都のモニタリング会議で、東京都立病院・公社病院でコロナ受入れを1100床目指すという事に言及されていました。もし仮に、この目標設定がクリアできていれば、まだ医療には余裕があったはずだと考えております。
年末年始の最新数値は公表されていませんが、現在は1100のうち400~500程度しか使えていません。物理的にベッドがあっても、そこに携わる看護師らの医療人材が不足している事に他ならないのです。すると、この医療人材確保を東京都が国と連携して、補っていく事も最優先であるはずです。ただ、これは一面的な見方でありまして、都立・公社病院の現場にも何か障壁があるのではないかと思うのです。どこかに「俺達ばかり」という感覚があるならば、これを取り除けるのは、小池百合子知事や病院経営本部長よる胆力ある説得しかないはずです。この1100もクリアしていかないと民間病院の先生達も納得して動いてくれないはずです。
小池知事の初心を忘れずに
1月4日11時の総理年頭会見で「緊急事態宣言」に言及されました。
でも、国が国がと言う前に、やれる事をやる。小池知事は都知事就任時に、都庁職員への訓示として「予算がない」「業界が反対している」「いろんな問題がある」。そんなことたくさんあると思いますけれども、しかしながら、できない理由探しよりも、できる方法を考えていただきたい。と述べられました。であるならば、今こそ、ご自身に同じ言葉を投げかけて初心に返って、感染症対策を推進すべきです。私達、都議会自民党は時として自民党本部とも東京の為に戦ってきました。小池知事とは東京の未来の為、都民の皆様の未来の為に、全力で汗をかいていきます。
こういう時代だからこそ、パフォーマンスではなく実効性ある政策を矢継ぎ早に出していかないといけません。それが、コロナ禍に生きる政治家の使命です。
特に感染症分類を2類相当から5類引き下げという策、PCR検査におけるct値の現実的な設定も考えなければなりません。一方で、昨年4月を振り返ってみれば、飲食店に対しては「休業」ではなく「時短要請」でした。これで、今回の波を抑えられるかなど、やるべき事の枚挙に暇がありません。
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