小池知事、川上量生氏、音喜多都議の狭間でもがく都議会議員の心情。

東京都議会議員の川松真一朗(墨田区選出・都議会自民党最年少)です。

 

川上氏からの指摘を受けて

さて、先週から突然にTwitter上で勃発した私と川上量生氏のやりとりにいつまでも黙っているのは気分も悪いし、特に公開討論会開催が固まってきた事もありますので概要を記しておきます。本件は発信力・影響力あるカドカワ代表取締役である川上さんのブログに名指しでご指摘を頂いた事もあり、堀江さんにまで「川松って奴がクソなのだけが分かった笑笑。」とツイートして頂いた事で私のところにも批判の声が多く届いています。

 

それだからこそ、先週金曜日に川上さんから申し入れのあった公開討論会にも「逃げた」と言われるのも不本意ですから(私の立場から川上さんにお聞きする事はほとんどないものの)即日に受諾のお返事をさせて頂いたのであります。音喜多都議が外野から煽るかのように私に公開討論参加を促しておきながら、私と川上さんのやりとりを待たずして一方的な私見をブログで述べた事に対して、川上さんも補足ブログを書かれて、ちょっと流れが変わりました。批判は肯定の5倍の労力を使うのに、形骸的な事実だけをもって私見を一方的に述べた音喜多都議の手法には正義を感じません。

 

ちなみに公開討論会は本日28日現在、7月30日夜帯での開催で調整に入っております。

 

川松はオリンピック事業の応援団です

それはさておき、私は川上さんからオリンピックの文化事業を邪魔しているかのような指摘を受けました。問題にすべきでない事かどうかは、Twitter上でも様々な意見が出ているほどで、議会で分からない事を質問するのは当然の事です。

 

私は川上さんが登場する以前から、もっと言えば小池知事が誕生する以前から20年大会の成功の鍵を握る「文化プログラム」の重要性を訴えて内容の充実を求めてきた一人です。2013年に都議会議員に当選後、ほとんどの都議会議員が興味を示してこなかった文化事業にこだわりを持ち、票にならず金にならずとも東京の持続発展には文化事業が大切だという信念から様々な場面で語ってきたものです。例えば、先輩である早坂都議が本会議場でフェルメールを取り上げた事がありました。これも、東京都文化ビジョン策定をめぐる議論の中で、私が上野公園で開かれた”過去最高の展覧会”「マウリッツハイス美術館展」を熱く語った事で興味を持たれ、現地へ行き、都議会の本会議質問に繋がったとお聞きしました。ですので、いたずらに今回のTTFという小池知事肝いりの文化事業を批判しているのではない事を先に述べておきます。

 

川上氏の手腕に期待が高まっていた

そもそも東京文化プログラムはリオデジャネイロ五輪後の2016年秋からスタート。オリンピック憲章に基づき文化発信が使命となる開催都市の責任として当たり前の動きでした。そこで皮肉にも今回注目を集める形となったTTFという事業は突然に小池知事から発表されたのですが、始動していた東京文化プログラムの、特に2020年4月からの半年期間を「トーキョートーキョーフェスティバル(TTF)」と名付けて盛り上げるという事業です。

 

そして、それまで私も課題として担当部局に提言していた「発信力強化」を課題として、ニコ動等で実績のある川上量生さんにTTF統括プロデューサーをお願いしたというものです。私がこの時点でTTFを応援はするが、全力で応援したいという明確な答えに辿り着けませんでした。そもそも東京文化プログラムは2016年からスタートしているのに2020年4月からをTTFという形で予算をつけて、あえて既存のものと区別する意図がよく分からなかったからです。つまり、発信力強化の為に「屋上屋を架す」仕組みとなった事で、今まで積み上げてきたものは何だったのだろうかという事を思ってしまったのです。

 

私が東京都や関係団体職員の仕事を邪魔しているかのような話がまかり通っていますが、実際には同じ中身なのに新たな事業を被せる方がよっぽど書類も増えるし、仕事が増えたのではないかと思うものです。そんなこんなで、担当職員と話を重ねる中で、川上さんの発想、方向性を取材しながら時を過ごしていました。

 

きっかけは予算特別委員会

そこで、事が大きく動いたのは今年3月13日の都議会予算特別委員会の山崎一輝都議の質疑です。これが一連の動きのきっかけとなりました。この場で山崎都議はTTFという事業が新たに予算案に盛り込まれた事で事業の概観を質問したわけです。そして、川上さんという存在こそがこのTTFで重要な位置付けだと判明した事で、山崎都議はこのように聞いています。

「川上氏と知事、どういうご関係でしょうか。知事、教えてください。」

これに小池知事は

「ご関係といわれましても、以前から知り合いであることは事実でございます。ただ、広い意味で、例えばシン・ゴジラを作成するに当たって、元防衛大臣として協力をしてほしいと頼まれるなど、そういった形でのおつき合いでございます。」

https://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/budget/2018/2-03.html

 

複雑な事業スキーム

これを受けて、翌日の14日に質疑に立った私は事業スキームで見えない所がいくつ
かあったので質問しました。まとめると、こういう事です。

 

この事業は東京都と東京都歴史文化財団が共催となり、そこに様々な組織名が出てくる複雑な形式です。何が複雑になっているかといいますと、東京都の中に芸術文化評議会と生活文化局がという関係機関があり、そこに、今回、TTF運営調整会議というのがセットされました。そしてオペレーションを東京都が直接どこかの事業者にお願いをするのではなくて、東京都はお金を共催する外郭団体の東京都歴史文化財団に入れて、この外郭団体が事業者に委託する事になっており、このスキームがちょっとわかりづらいので質問したというのは議事録を読んで頂ければ分かります。

https://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/budget/2018/3-04.html

 

資金は歴史文化財団内のアーツカウンシルという組織から公募で選ばれた現場を担う企業・団体に流れるという仕組です。文化事業はその特殊性から、その方向性を持った人にしか出来ないものも沢山ありますから、東京都の文化事業は外部委託という形は一般的と言えます。予算特別委員会でも小池知事は私に明確に「他の事業と同じスキーム」だと述べられました。川上さんがブログでも述べられていますが、同様の説明を都側が川上さんにされたのではないかと推測されます。

 

少なくとも、私が委員会で指摘したのは、このアーツカウンシルから委託された業者団体が別の事業者に再委託できるかどうか?という点。

これに対して「出来る」と東京都から回答が出ましたので、その際委託先に「小池知事や川上統括プロデューサーの関係者は入ることはあるのか?」と聞いた事に対しての小池知事の回答が曖昧だった為に委員会は紛糾しました。今回、川上さんがブログで書かれているような堂々たる説明をされていれば事態は悪化しなかったかもしれません。

 

実際、小池知事は堂々と説明されるどころか、

「関係者、関係者とおっしゃいますけれども、どういう意味の関係者なのか、よくご質問の意味がわかりません。」と発言。

そうかと思えば委員長から「発言者の趣旨を理解しているのか?」という問いに、

「発言者の意図を理解しているか否か、理解しております。」という答弁をされたので、私としてはあまりにも馬鹿馬鹿しくなってしまい、限られた時間でもあるし、このTTF質疑をやっても前に進まないと判断し私は質疑をここでやめました。

 

深掘りされた小松都議の質疑

このやり取りに疑問を持ったのは23日に質疑に立った小松都議です。小松都議はこの質疑で多くの疑問を呈示しました。川上氏は統括プロデューサーというだけでなく、TTF運営調整会議の議長でもありました。平成30年度予算案としてTTF絡みでは億単位の予算が組まれたのですが、小松都議の質疑の時点で、この調整会議は1度しか開かれておりません。そして、これから委託業者を選定するにも関わらず想定される人件費、事務所費も具体的に計上されている事も含め、14日の小池知事の有耶無耶の答弁から、小池知事が何かを隠しているのではないかと都議会自民党だけでなく、他会派やマスコミからも思われていたのです。実際に私は他会派の都議や記者から意見を聞かれていましたが、小池知事が透明性を持ってやると話しているし、具体的な統括Pの話も出てこないし、様子を見ようと何もしないでおりました。

https://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/budget/2018/5-03.html

 

突如、辞任の報

それが突然、6月27日に川上統括Pが辞任していたという噂が7月に入って囁かれました。私は東京都の生活文化局担当者に真偽を確かめると噂は本当だった事が判明したのです。しかし、私はこの文化プログラムを邪魔する意図は無い事から、この事実は私の胸に留めてSNSやその他でスクープ的に発信する事はしないと宣言。とは言え、小池知事肝いりの事業で、今年の予算特別委員会では重要テーマとして議論された事だからこそ、統括プロデューサー辞任については東京都が発表すべきと要望はしておきました。就任の際には発表して、辞任は報じないという姿勢は知事が一丁目一番地と掲げた情報公開に反するのではないかと指摘し私は発表を待っている立場でした。というのは、辞任の理由もよく分からないし、川上統括Pありきで進めて予算がついた事業の今後をどう考えているのか気になっていたからです。

 

それが突然、7月19日の産経新聞の全国版紙面で「川上氏辞任」が報じられたので、私はなぜ知事はここまでダンマリを続けるのか説明すべきはないのかと発信し続けました。3月14日に禅問答のような質疑をした身として知事に説明を求めた姿勢に対して、川上さんがツイッター、ブログで反論され公開討論へという流れになったわけです。

 

いずれにしても、私はとりわけ川上さん個人を取り上げて批判した事はありません。むしろ、川上統括Pの手腕に期待したいからこそ、事業がスタートする前に疑念は払拭しておきましょうと小池知事に呼びかけたものです。川上さんのブログによれば、小池知事の方が都議会での議論内容よりも一歩進んだ仕組みの変更を申し出た模様です。私からすれば「えっ!?」という感じでして、当初から知事の方に何か後ろめたい事があったのではないか多くの人に思わせる展開になっています。

 

一旦立ち止まれなかったのか

私は川上さんが統括Pでなく、運営調整会議議長でなければ、ここまで拗れた話にならなかったと考えています。知事が一本釣りで、川上氏を抜擢された際に、ドワンゴのスタッフが必要と明言されていたのなら、単純に委託先として川上さんチームが選定されて済んだ話です。厳格には、事業の発注者は東京都ですが、その事業全体の方向性を決めるポジションとして統括Pと調整会議議長という2つの役職は限りなく発注者に準ずる立場に見えるからこそ、発注者と受注者が「身内」というのは本当に安全な透明性を持った
スキームなのか小池知事が「一旦立ち止まる」べきだったのではないでしょうか。公共調達はやはり、公平・公正にかつ適正に取引先を選定することが最重要な課題です。

 

川上さんは公開討論会で「都の職員は関係ない」「私が質問に答える」と話されていますが、川上さんのブログによればこの事業スキームの詳細を考えて、かつ途中で変えたのは発注者である小池知事であります。私はあくまでスキームの透明性を問い合わせただけで、その議会質問をもって事業を変えるような杜撰な仕組みで押し通そうとした小池知事自身こそが、そもそものTTFの本質的な意味での敵だと考えます。

 

今後、多忙の川上さんと討論が出来るならば、このスキーム云々は聞いても過去を掘り返すだけで前に進みません。だからこそ、やはり文化プログラム成功の為に東京都が足りない要素についてダイナミックな議論をさせて頂ければ有難いと思っています。このやり取りで感じられた事などを是非とも聞かせて頂きたいと思うのです。当初のように1週間前の20日開催の討論ならば、少々トーンも変わっていたでしょうが、現時点で互いが対立する事柄でもないように思います。

 

スキームの議論は都議会で

という事で、本件のスキーム等についての質疑がどうしても必要になる場合も生じるかもしれません。個人的には前段の通り、川上さんの辞任で一区切りついてはいます。但し、議会人として、私のやっている事が単純な「小池憎し」でない事、都民の皆様が求めたチェック機能を果たせる議会を練り上げていくという観点からはやるべき事だけはやらなければなりません。但し、これは議会対応としてですので、会派単位での動きとなります。今後もし客観的に見て必要とあれば会派として動いて頂きたいと都議会自民党執行部に要請しました。偶然にも8月1日に都議会自民党幹事長に就任するのは吉原修都議であり、3月の予算特別委員会では委員長に座っていた張本人であります。

 

期せずして、このような大騒動になった以上、これをテコとして大成功に導かなければなりません。引き続き、ご支援頂く皆様にはお願いを申し上げるところです。全ては2020年大会の大成功に向けて。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です