東京都議会議員の川松真一朗(墨田区選出・都議会自民党最年少)です。
今週19日に始まった第3回定例会には以下の条例も小池知事が上程されています。
東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例(案)
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2018/09/12/19_01.html
オリンピックを開催するにあたって、あらためて「東京都」は人権の尊重する旨を掲げるという第1章の「オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現」という思いは当然ですし、推進していかなければなりません。むしろ、こういう条例が上がってくる事自体、世界の潮流からすれば遅れている感もあるわけです。
ただ、その包括的な考え方の中で、2章のLGBT、3章のヘイトスピーチをとりわけスポットを当てている事が本当に「オリンピック憲章にうたわれる」という文言に馴染むのかどうかが私の中で引っ掛かります。
いかなる種類の差別撤廃が目標
オリンピック憲章にうたわれているのは「このオリンピック憲章の定める権利および自由は人種、肌の色、性別、性的指向、言語、宗教、 政治的またはその他の意見、 国あるいは社会のルーツ、 財産、 出自やその他の身分などの理由による、いかなる種類の差別も受けることなく、 確実に享受されなければならない。 」という事であり、「いかなる種類の差別」を否定しているのです。
今回、当該所管局である総務局から条例の考え方を都議会自民党として何度も聞いていますが、未だに明確な答えが返ってきません。ましてや、敢えてオリンピック憲章を立てていたのに、LGBTに焦点を当てているのも理解しがたい状況です。一方でLGBTについて東京都が率先してこの問題に向き合って来た形跡もないのに条例を出して、広く都民に条例で縛ろうとする姿勢に不信感も募ります。
東京都はどこまで取り組んで来たのか?
私が本件について、総務局にもオリンピック・パラリンピック準備局に聞いているのは「レインボーフラッグ」を20年大会グッズに取り入れたり、マスコットキャラクターが旗を持つなどの考え方はないのだろうか?という事です。当然、戻ってきた答えは「無し」です。
こういう条例案を東京都が出すことに意味が無いとは言いませんが、LGBTにしてもヘイトスピーチにしても、「何かやっています」というパフォーマンスにしか見えず、根本的な問題解決に取り組もうとしている思いを感じる事が出来なかったのです。本当に小池知事が言う「ダイバーシティの実現」に近づこうとしているのか疑問だけが湧き起こってくるのです。
例えばです。2016年リオデジャネイロオリンピック大会では、東京都が目指す条例の魂を様々な形で見る事が出来たのです。一例として、開会式のことです。ブカラフルな自転車に乗って登場しブラジル選手団を先導した人物こそ正に象徴です。
この方はリア・Tさんという世界的な有名なトランスジェンダーモデルです。彼女が選手を先導した事はリオ大会の「多様性を発信する」という大きなメッセージとなりました。
また、私が現地で購入したオフィシャルグッズがこちらです。
左がレインボーフラッグ、右がトランスジェンダーのシンボルマーク。
たまたまリオ市内のオフィシャルショップで見つけて、20年大会の多様性政策に活かせるかもと購入し保管していたものです。こういう事をさらっとやって見せる事こそが大切で、敢えて文言に出してやりましょうという事自体に、都庁舎内には差別的な発想があるのではないかと勘繰ってしまったのです。
そして「ハーフ」の問題も
前段でも記しましたが、オリンピック憲章が記している「いかなる差別」という考え方を2020年に向けて、そして20年を越えて浸透させていくために行政や政治はもっと汗をかかないといけ
ないんだと思います。
ちょうど、そんな議論を重ねているところに、大坂なおみ選手の活躍を受けての毎日新聞にはこんな記事が届きました。
↓
これに対して、私は下記のツイートをしました。
川松真一朗(東京都議会議員・墨田区)@kawamatsushin16
真のダイバーシティ実現とは、こういう記事が出ない世の中の実現。 日大ラグビー部には様々なルーツを持つ選手が集まっている。僕自身はそれぞれが相互に理解することが大切だと言い続けてる。 <「ハーフ」>国籍、背景…認識多様に 大坂選… https://t.co/0Xfuc3b9xr
まだまだ日本がグローバル基準で取り組むべき課題はあるなと思っています。
誤解なきように言えば、様々な背景や事情があったとしても、大切なのは「個」の尊重である事です。全ての人は「平等に造られ」と記してあるのは米国・独立宣言ですが、福沢諭吉の「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」も福沢翁が参考にしたとも言われています。
やはり、アイデンティティをどう表現し相互に理解していくか、これを自然と受け入れられる環境を少しずつ作り上げていくかが大切で、20年を乗り越えて次世代の社会を築いて
いこうとする私達若手政治家の使命なのではないかと思います。
この条例については課題も多く、第3回定例会中に更に詳細を記していく事もあるかもしれません。
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