東京都の行政改革施策が混乱しそうで・・・

東京都議会議員の川松真一朗(墨田区選出・都議会自民党最年少)です。

 

公営企業委員会へ異動

9月19日より平成30年第3回定例会が始まります。現在は会期前ですが、各委員会が開かれ事前の案件説明や事前準備が進められています。そんな中、私は9月11日付で所属委員会が文教委員会から公営企業委員会へと変更になりました。文教委員会は教育庁、生活文化局、オリンピック・パラリンピック準備局所管でしたが、公営企業委員会は水道局、下水道局、交通局の3局所管です。特に、私は1期目の2年目3年目に公営企業委員会に属していまして、約2年ぶりに復帰した形です。

 

工業用水道事業廃止へ向けての議論

今回、臨時で委員会変更になったのは理由がありまして、私が当選以来、向き合ってきた「工業用水道事業」を廃止する条例が小池知事より出された事にあります。そもそも全国の様々な地域では地下水を汲み上げ利用する事で、工業・農業・ビルの冷房などに使用していました。しかし、多くの地下水利用の結果、地盤沈下が確認されるようになりました。そこで昭和31年に工業用水の合理的な供給を確保するとともに、地下水の水源の保全を図り、地盤の沈下の防止に資することを目的として工業用水法が出来ます。この法律により、指定された地域で井戸を利用する場合は各知事の許可が必要となったのです。

 

経営悪化にどう向き合うか

ちなみに東京都では「地盤沈下の防止を目的とした地下水の揚水規制に伴う代替水を供給する行政施策として、昭和39年8月に江東地区(墨田区、江東区、荒川区の全域及び江戸川区と足立区の一部)で給水を開始し、昭和46年4月には、城北地区(北区、板橋区、葛飾区の全域と足立区の大部分)でも給水を開始しました。」「工業用水の需要は、国の産業立地政策や各種公害規制の強化による工場の都外への転出、オイルショックを契機とした水使用の合理化の進行等により、昭和49年度の基本水量日量36万9,933m³をピークに減少傾向が続いています。このため、施設に大幅な余剰が生じるとともに料金収入も落ち込み、事業経営の著しい悪化を招くこととなりました。」(東京の工業用水道パンフレット記載)

 

無料から有料へ、そして値上げへ

つまり、都内で指定された地域においては、それまでは工場の様々な目的で地下水を使っていたのですが、地盤沈下が進むことの恐れから「地下水利用」に制限をかけて、その分、工業用水道で仕事をして欲しいというルールを行政が作ってきたのであります。歴史的に見れば、地下水は無料でしたから、それが工業用水道に切り替わることで有料になりました。と言ってもで高度浄水処理された飲料等に使用する上水道に比べれば料金は低くなっています。とは言っても、水道管を通して各ユーザーに送る事業として考えますと、上記のように利用者が減っていくことで事業としての採算性については赤字になってしまっているのが現状です。このような議論が平成16年頃から都議会でも行われ自民党は率先して取り組んできました。特に、私達の主張は廃止にする場合は、各ユーザーの意見を丁寧に聞き取りし、現場が混乱しないよう作業を進めて欲しいと関係各局に要望してきたのです。

 

そのような過去の議論はあったものの、突如として小池都政下において昨年の有識者委員会から廃止に向けた方向性が具体的に進み、本年6月に「工業用水道事業のあり方に関する有識者委員会 報告書 」がまとめられ、これを基に小池知事が踏み込んだ決断をします。そして、この19日から始まる第3回定例会に「東京都工業用水道条例を廃止する等の条例」が提案される事になったのです。

 

参考人招致をすべきか否か

そこで、定例会前に開かれた公営企業委員会で案件説明が行われましたので、私から委員長に対して、本件の審議には現場の皆さん方の生の声が必要であるという強い思いから、参考人招致を求める提案をさせて頂いたのであります。その直後に公明党議員から「一つの業界団体の中でも、工業用水道をめぐる意見は様々であり、団体を代表して見解を述べることは難しいとの意見も承っているところであります。」として、参考人聴取に否定的な発言がありました。

私とすればあくまで現在のユーザーから生の意見を聞くべきと委員長に申し上げたの過ぎません。業界団体の代表を呼んで欲しいとは言ってませんでしたが・・・

ちょっとスタートから噛み合わない感じはしていましたが、結果的に14日の夜の時点では結論が出ませんでした。連休明けに結論は持ち越されますが、19日から定例会が始まります。

 

この廃止及びそれに伴う施策は一部の人の意見だけに傾聴して動いた移転問題に似ているものを感じます。但し、市場問題と異なるのは、上にも記したようにそれまで可能だった地下水規制をかけるという行政施策として強制的に工業用水道を使わせてきただけに、ユーザーへの切替支援がどこまでなら適正範囲なのかを議論するのが今回の条例に伴う大切な要素だと認識しております。

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